(1)抗リボゾームP蛋白抗体(anti-P)のリボゾームP蛋白の結合部位の解析(epitope mapping) anti-PがヒトリボゾームPO蛋白C末端11個アミノ酸残基(SDEDMGFGLFD;以下(1)と記載)の何れの部位に結合するかをSLE血清を用いて検討した。最もC末端に位置する3個のアミノ酸残基(LFD;以下(2)と記載)、C末端11個のアミノ酸残基の中で最もN末端に位置する5個のアミノ酸残基(SDEDM;以下(3)と記載)、中間に位置する7個のアミノ酸残基(EDMGFGL;以下(4)と記載)の3種類の合成ペプチドを固相化抗原としてELISAにて行った。何れの抗体価に関してもSLE症例は正常人の各々の抗体価に比べて有意に高値を示した。(2)、(3)、(4)の抗体価は(1)の抗体価と有意な正の相関関係を示した。(1)の合成ペプチドによる吸収抑制実験(SLE症例希釈血清を(1)、(2)、(3)、(4)の固相化抗原に反応させる前に液相にて(1)の合成ペプチドに反応させた)では(1)、(2)、(4)、(3)の順で(1)による抑制率が高値を示した。SLE症例の経過を追った血清を用いた(1)、(2)、(3)、(4)への結合性の検討では(1)の抗体価の大きな上昇時期にほぼ一致して(2)、(4)の抗体価も大きな上昇を示した。anti-Pの結合部位としてLFD、EDMGFGLの2種類が存在する可能性が示された。 (2)epitope mappingとSLEの臨床症状・活動性との関連性の検討 SLE症例を臓器障害の陽性群と陰性群に分けて、(1)、(2)、(3)、(4)の抗体価を比較検討したが、臓器障害と有意な関連性を示す抗原部位は存在しなかった。(2)の抗体価のみがSLE活動性スコア(SLEDAI)と有意な正の相関関係を示した。LFDに結合するanti-Pの上昇とSLEの活動性亢進が関連する可能性が示唆された。
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