研究概要 |
初年度は,マウスを用いた実験から,アレルギー発症の原因因子としてのIL-18の意義付けを検討し、以下のような結果が得られた. 1)IL-18は好塩基球やマスト細胞に作用して,IL-4,IL-13そしてヒスタミンの産生を誘導する.2)IL-18はIL-2の共存下にナイーブCD4^+T細胞に作用して,CD40リガンドの発現とIL-4の産生を誘導する.3)ナイーブCD4^+T細胞は抗原刺激存在下にIL-18で刺激されると,T細胞由来のIL-4によって,Th2細胞に分化する.4)無処置のBALB/cマウスにIL-18を単独投与するだけで,投与量に依存して血中にIL-4とIL-13の産生が誘導され,更にIgE産生が誘導さる.一方,5)IL-4Rα鎖遺伝子欠損マウス,IL-4遺伝子欠損マウス又は,CD4^+T細胞を除去したBALB/cマウスにIL-18を投与してもIgE産生は誘導されないこと,さらに6)可溶型IL-13Rα2を投与してIL-13活性を中和したBALB/cマウスにIL-18を投与してもIgE産生は誘導されないことから,IL-18によるIgE産生誘導はCD4^+T細胞から産生されるIL-4に依存していることが明らかとなった.最後に,5)caspase-1(IL-18前駆体を成熟型IL-18に変関する酵素)トランスジェニックマウスを作製した.このマウスは,出生初期から血中IL-18は高値を示し,高濃度のIgEを産生し,ヒトのアトピー性皮膚炎に類似した疾患を発症する.以上の結果は,"IL-18の過剰発現に起因するアレルギーの発症"という全く新しいアレルギーの誘導メカニズムを提供するものである.今後はこれらの結果を基盤にして,ヒトアレルギー発症におけるIL-18の役割を明らかにしていきたいと考えている.
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