研究概要 |
本研究課題では全身性自己免疫性疾患およびアレルギー性疾患、白血病患者中に存在する可溶化CD40リガンドを定量するともに各疾患との相関を検討する。さらに可溶化CD40リガンドの産生機序を解明し、産生を制御する薬物の探索を行うことを目的とした。まず、研究代表者が確立した可溶化CD40リガンド測定系(ELISA)にて各種自己免疫性疾患患者(SLE,RA、川崎病、サルコイドーシス)の血中可溶化CD40リガンド値を測定した。その結果、SLEでは既に報告済みの通り、殆どの患者において高値(average6000pg/ml)を示した。これに対してリウマチ患者においては全体の3割の患者で高値を示した。可溶化CD40リガンドの高値を示した約7割のリウマチ患者は、血管炎を併発しているRheumatoid vasculitis(RV)患者であった。また小児に多く認められる血管炎、川崎病の患者血中(活動期)にも可溶化CD40リガンドが高値を示した患者が認められた。以上の結果より可溶化CD40リガンドは全身性血管炎と密接に関連している可能性が示唆された。これに対してサルコイドーシス患者においては有意な可溶化CD40リガンド値に差は認められなかった。次に可溶化CD40リガンドの産生機構を検討した結果、他のTNFファミリーと同様にMMP(matrix metalloprotease)によって膜型CD40リガンドが切断されることが判明した。各種MMP阻害剤(BB94,KB-R9301,KB-R7745)の添加によりin vitroでの活性化T細胞およびCD40リガンド遺伝子導入細胞からの可溶化CD40リガンドの産生は強く抑制され、今後これらの制御薬物が全身性自己免疫性疾患発症および進行に如何なる影響を与えるかを動物モデルを用いて検討する予定である。さらには他の制御薬物(シグナル伝達阻害剤)の影響も併せて検討を行う予定である。
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