研究概要 |
本研究課題では全身性自己免疫性疾患およびアレルギー性疾患、白血病患者中に存在する可溶化CD40リガンドを定量するともに各疾患との相関を検討する。さらに可溶化CD40リガンドの産生機序を解明し、産生を制御する薬物の探索を行うことを目的とした。まず、研究代表者が確立した可溶化CD40リガンド測定系(ELISA)にて各種自己免疫性疾患患者(SLE, RA、川崎病、サルコイドーシス)の血中可溶化CD40リガンド値を測定した結果、リウマチ患者の約7割の患者において可溶化CD40リガンドが高値を示した。さらにその多くは血管炎を併発しているRheumatoid vasculitis(RV)患者であった。この結果は司溶化CD40リガンドが全身性血管炎と密接に関連している可能性が示唆された。これに対して白血病患者(急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫)患者においては有意な可溶化CD40リガンド値に差は認められなかった。咋年までの本研究においてTNFファミリーと同様にMMP(matrix、metalloprotease)によって膜型CD40リガンドが切断され可溶化CD40リガンドが産生されることが判明した。そこで本年度は自己免疫性疾患患者血中の可溶化CD40リガンド量を減少させる目的で血漿交換療法前後の可溶化CD40リガンド値を測定した。その結果、血漿交換後の可溶化CD40リガンドは有意な低値を示すことが明らかとなった。この血漿交換療法で用いるカラムは高分子量免疫複合体の成分を除去する目的で行われているが、分子量30kDa(単量体)の可溶化CD40リガンドが如何なる理由でこのカラムにて除去されるのかは現在不明であるが、何らかの複合体を形成しているもの考えられ、今後複合体の成分の解析を行う予定である。
|