研究課題/領域番号 |
12670466
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
新井 雅裕 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (60271566)
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研究分担者 |
池田 均 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (80202422)
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キーワード | 肝移植 / 虚血再灌流障害 / Kupffer細胞 / 活性酸素 / ischemic preconditioning / アデノシン |
研究概要 |
短時間の臓器虚血と再灌流は、その後の長時間の虚血/再灌流後に生じる臓器障害を軽減する。この現象は、ischemic preconditioning(IP)と呼ばれる。我々は、ラットモデルを用いて、IPが保存/再灌流に起因する、類洞内皮細胞障害、及びKupffer細胞の活性化を抑制し、肝移植後のレシピエントの生存率を改善することを示してきた。今回、IPのKupffer細胞に及ぼす効果の機序につき検討を行なった。 生理的緩衝液にて経門脈的に灌流を行い、肝を摘出。UW液中で保存後、cytochrome c及びKupffer細胞刺激物質であるPMAを含有した緩衝液にて再潅流し、灌流液中のcytochrome c還元量を測定。Superoxide dismutase存在下、非存在下におけるcytochrome c還元量の差より、Kupffer細胞の活性酸素産生量を算出した。 1.Kupffer細胞の活性酸素産生量は、保存/再灌流によって増加したが、IPはこれを抑制した。 2.アデノシンA_1リセプター阻害薬の前投与によって、Kupffer細胞におけるIPの活性酸素産生抑制作用は消失したが、A_2リセプター阻害薬は効果を示さなかった。 3.アデノシンA_1作動薬を添加した緩衝液で肝潅流を行うと、保存/再灌流後の活性酸素産生量は減少し、IP同様の効果が得られたが、A_2リセプター作動薬は効果を示さなかった。 以上より、IPのKupffer細胞に対する、活性酸素産生抑制作用はアデノシンA_1リセプター刺激を介して発現すると考えられた。
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