研究概要 |
5種の膵癌細胞を用いてビタミンD, TGFβシグナル伝達系クロストークの検討を行った。ビタミンD3(vitD)、TGFβ反応性細胞SUP-1はNorthern blottingにて、TGFβシグナル伝達系の終末に位置するsmad4((PC4)の発現を認めず、両シグナル伝達系にクロストークの存在が考えられた。SUP-1にビタミンDレセプターresponse elementであるVDRE3-Lucをtransfectionして、vitDとTGFβを反応させVDRの転写活性能を検討したが、vitDにて転写能の亢進を認めたが、TGFβでは認めなかった。従って、今回の検討では両シグナル伝達系のクロストークの証明はできなかった。PPARγリガンド,troglitazonの9種の膵癌細胞株に対する増殖抑制効果を検討した。10mMの濃度で、6種で著明な増殖抑制効果を認めた。増殖抑制効果はG1 phase cell cycle arrestとリンクしており、CDK inhibitor p21 mRNA, P21蛋白の発現亢進、CDK2 kinase activityの低下、Rb蛋白の低リン酸化を認めた。従って、troglitazoneの増殖抑制効果はP21の誘導を介するものであると考えられた。また、増殖抑制効果は細胞分化を伴っていた。膵癌との鑑別が問題となる自己免疫性膵炎についてHLAの検射をおこなった。本疾患ではDRB1*0405-DQB1*0401haplotypeの頻度が有為に高く、これらclassII抗原でpresentationされる特定の抗原ペプチドに対する免疫応答が発症の引き金になっているのではないかと考えられた
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