肝硬変症に代表される肝線維症は、慢性肝疾患の終末像を形つくる特徴的な病態であり、現在これに対する有効な治療法は開発されていない。肝線維化の形成過程においては、transforming growth factor-β(TGF-β)と呼ばれるサイトカインによる肝星細胞の刺激が重要な鍵を握っていることが明らかにされている。 本研究では、プラスミン・血漿カリクレインといったセリンプロテアーゼによりTGF-βが活性化されることを明らかにし、この活性化が肝線維化や肝再生不全の病態形成に重要な役割を担っていることを明らかにした(Gastroenterology 2001およびGastroenterology 2002)。またこの研究成果を踏まえ、セリンプロテアーゼ阻害剤が、TGF-βの活性化を阻害し、肝線維化の治療薬となりうる可能性を培養星細胞実験および動物実験モデルにて明らかにした。
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