研究概要 |
嚢胞線維症の原因であるCystic Fibrosis Transmembrane Conductance Regulator(CFTR)クロライドチャンネル遺伝子異常と慢性膵炎の関係を臨床および基礎的に検討した。 (1)慢性膵炎患者52例(男性45例、女性7例、平均年齢58.7歳)および健常人108例(男性99例、女性9例、平均年齢61.7歳)において最も頻度の高い20のCFTR遺伝子異常(E60X,R117H,R334W,R347P,A455E,DI507,DF508,G542X,G551D,R553X,621+1G>T,l078delT,R1162X,S1251N,W1282X,N1303K,1717-1G>A,2183AA>G,3659delC,3849+10kbC>T)を検索したが、慢性膵炎および健常人いずれにも異常を認めなかった。またイントロン8におけるポリT多型の頻度は健常人では5T/7T(1%),7T/7T(98%),7T/9T(1%)、慢性膵炎患者では5T/7T(1%),7T/7T(93%),7T/9T(6%)と有意差なく、TG反復数の11、12、13の分布頻度にも差を認めなかった。 (2)慢性膵炎発症におけるCFTRの役割を明らかにすることを目的とし、ヒトで最も頻度の高いCFTR遺伝子異常である508番目のフェニルアラニン残基の欠損(ΔF508)を有するトランスジェニックマウス(ΔFマウス)を導入した。本年度はマウスの膵導管を単離し、単離導管細胞からの水分泌測定法を開発した。
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