【目的】DNAワクチンにおけるアジュバント効果の比較検討 【方法】前回の検討から抗原性の高いC型肝炎表面抗原は、アミノ酸残基406-644であり、特に423-448と576の糖鎖が不可欠であることが知られた。(1)この部分に対してサイトメガロウイルスプロモーターを先行させたDNAワクチン、(2)B型肝炎ウイルスのS抗原をアジュバントとしてキメラ化したDNAワクチン、また参考として(3)リコンビナントB型肝炎タンパクワクチン、の3タイプのワクチンをBALB/Cマウス(各グループ6匹)に接種した。免疫後3週ごとに21週まで採血し、血中の各抗体価及びそのアイソタイプを測定して比較した。 【結果】(1)(2)ともに抗E2抗体価は12週まで増加し、その後プラトーに達した。それらの抗体のアイソタイプは、IgG2aが主体であり、細胞性免疫の誘導が強く示唆された。また、これらの抗体は、リコンビナントE1/E2ヘテロダイマーとの免疫沈降現象が観察されウイルスの中和能があることが示唆された。(1)に比較し(2)のほうが抗体価の誘導が低く、B型肝炎ウイルスのS抗原のアジュバントとしての効果がそれほど期待できなかった。(3)のリコンビナントワクチンでは、抗体価は9週目に最高値に達し漸減していった。 【結語】(1)DNAワクチンの抗体価が長期持続するのに対して従来の蛋白ワクチンでは持続効果がなく、DNAワクチンの優位性が確認された。(2)アジュバント効果が期待されたB型肝炎ウイルスのS抗原には、あまり免疫増強効果が見られなかった。(3)現在のところ、サイトメガロウイルスプロモーターが最も免疫誘導脳が高いと思われた。
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