研究概要 |
我々は、C型肝炎ウイルス(HCV)の粒子の超微形態を明らかにし、Journal of General Virology,75,1755-1760,1994に報告しました。その後、我々は、患者血清中のHCVコアー粒子が正二十面体の直経33〜40nmの球形粒子であることを明らかにし、Hepatology Research,20,335-347,2001.に報告した。さらに、HCV粒子は超遠心過程で壊れやすく、パラホルムアルデヒドでウイルス粒子を固定することにより、効率よくHCV粒子の分離・精製が行えることを明らかにし、Journal of Medical Virology,63(2),108-116,2001に報告した。HCVの培養細胞系では、ヒト肝細胞とHepG2細胞を紫外線照射にて不活化したセンダイウイルスを用いて融合し、ヒト肝細胞由来IMY細胞を樹立しました。この細胞にC型慢性肝炎患者血清を添加するとHCV(10^4copies/ml程度)の培養が可能となりました。IMY細胞はNativeなHCVの増殖が可能な細胞です。この細胞にHCV全長遺伝子(type 1b)のcDNAを遺伝子工学的手法を用い、効率よくHCV(10^<10>copies/ml以上)を複製することができるようになりました。このシステムを用い、HCVの増額は細胞質内で行われ、滑面小包体内へHCV粒子が出芽し、細胞外へと排出されることを電子顕微鏡下に明らかとし、更に培養細胞の上清中に多数のHCVが存在することを免疫電子顕微鏡下にとらえた。この研究結果を第51回と第52回米国肝臓学会に発表した。更に牛ラクロフェリンがGenotype 1b,高ウイルス量のC型慢性肝炎患者のウイルス量を低下させることを明らかとし、第52回米国肝臓学会に発表し、American Journal of Gastroenterology,97(3),766-777,2002.に報告しました。
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