研究概要 |
我々は、小腸移植手術における新たな免疫抑制療法の開発を目的として、ラット異所性小腸移植モデルを用いた末梢白血球光線療法(photopheresis、以下PP)の研究を行ってきた。ラット異所性小腸移植モデルは、科学研究費奨励研究(A)、平成10〜11年度、「小腸移植拒絶反応の抑制-高分子マイクロカプセルを用いた経口免疫寛容導入法の開発-」において確立したモデルを用いた。このモデルラットに小腸移植後末梢血を採取、比重遠心法により白血球のみを分離した(約3〜5×10^3/ml)。この白血球をPBSにて洗浄希釈後、10mlのPBSにて白血球浮遊液を作成した。この液にメソキサレン(methoxsalen、以下MTX)0.4μg/mlを添加後、UVA透過清潔ガラス板で作成した100μm薄層カセットに注入し、約180分間で2J/cm^2となるようUVAを照射した。その後、カセット内の白血球をPBSにて洗浄回収後、viabilityを確認、再びPBS1mlにて浮遊液を作成し、ラット末梢血中へ返却した。上記操作を移植後1、2日目、5、6日目、10、11日目、15、16日目、20、21日目の計10回施行し、移植後10、20,30日目に各ラットを犠牲死させて移植小腸粘膜の状態を確認した。その結果、現実験システムではPPを繰り返す毎に貧血が進行するため、処置ラットのうち移植後30日目までの平均生存率は約40%と低率であったが、生存ラット中、臨床経過および移植小腸組織の検討から、74%の移植片に拒絶反応が認められた(コントロール群:80%)が、その程度はコントロール群より軽微であり、PPは移植後の拒絶反応を軽減させる効果があると考えられた。
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