研究概要 |
Clontech製の1176個のヒトcDNAをスポットしたAtlas Human Cancer l.2 Microarrayによる18例の肝細胞癌手術例の非癌部にたいする癌部の遺伝子発現異常について検討した。RNAとDNAを抽出してそれぞれの組織の遺伝子発現状態を検索して、肝細胞癌(HCC)で発現が亢進(【greater than or equal】2.0)している41個の遺伝子と発現が低下(【less than or equal】0.5)している30個の遺伝子を同定した。HCCでは発現亢進(【greater than or equal】2.0)を示す遺伝子はEphrin-A1,cytoplastic dyneinlightchain (hdlc 1), Cytochrome p450 reductase等があり、一方低下(【less than or equal】0.5)を示すものはAgrecan, Caveolin 1,Growth arrest-specific 1,NF-IL6,properdine P factor, retinol-binding proteinなどである。また機能の別の検討では、1)MAP kinase pathway-MAPK12,MAP4Kl, MAPK3,EAK3,apotosis inhibitor 4 (survivin)等の活性上昇。2)CDC2,BUBIB/Mad 3L等の上昇するMitosisの亢進。3)DNA fragmentation factor-45,IGF bindingproteinの低下とBCL2 binding thanogene, BBP/53Bp2の上昇を示すApoptosisの低下。4)Immunoglobulin heavy constant gamma 3,Immunoglobilin lambda gene cluster等の上昇があり、mod, poor diffではimmune systemの低下。5)Rho等のvascular invasion, ras-linked protein T10,P21-activated protein kinase (PaK2)等の亢進等が認められた。Bisulfite-PCR /Restriction法にて、p16,p15及びIGFR3のpromoter部位のメチル化の亢進による遺伝子発現の低下を60%、10%及び33%のHCC症例の認めた。肝細胞癌では高頻度に癌部でIGFBP-3の発現低下(82%)が認められた。IGFR3は肝癌において癌抑制遺伝子として機能しているものと考えられる。慢性肝疾患の持続する不規則な肝細胞増殖や肝組織の無制御な癌細胞増殖においてMAPKカスケードの活性がその分子機構に関与し、これに加えてゲノムのメチル化が、肝細胞癌発生と進展に深く関与することが考えられる。
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