研究概要 |
臨床応用可能な赤外線蛍光内視鏡が開発されたことにより,ICG静注患者の食道の微細血管の観察が可能となり,本研究の着想に到った.赤外線内視鏡を用いた食道静脈瘤に関する検討は既に試みられているが,解像力が十分でなく,満足すべき成績は得られていない.眼科領域では古くからICGを用いた赤外線蛍光眼底カメラが臨床に応用され,微細な血管病変が検知できることが知られている.ICG注射時の血管描出能は赤外線観察よりも赤外線蛍光観察の方が桁違いに良好であるためである.したがって,赤外線蛍光内視鏡を用いICG投与時の食道静脈瘤の血管構造を観察すれば,赤外線内視鏡では得られなかった新知見が得られるものと期待された.そこで,食道静脈瘤症例について赤外線蛍光内視鏡を用いICG投与時の食道静脈瘤例の微細血管構造を検討したところ,赤外線内視鏡で必要とされるICG量の200分の1の投与量で明瞭な静脈瘤の画像が得られた(第60回日本消化器内視鏡学会,DDW合同プレナリーセッション,神戸,2000).今後,赤外線蛍光内視鏡は消化管血管病変に対する診断において有用な機器になりうるものと考えられる.
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