MCP-1の強力なdominant negative inhibitorとして作用する変異型MCP-1(N末端の2番目から8番目までのアミノ酸が欠損したもの)発現ベクター(DNA)をジメチルニトロサミン(DMN)による肝線維化モデルに対して筋肉内に投与した。体重及び肝重量はDMN単独投与群(DMN群)では減少したが、DMNプラス変異型MCP-1(DMN+7ND)群、ではこの減少が有意に抑制され、DMNを投与していない(コントロール)群とほぼ同じであった。コンピューター画像処理による定量的肝線維化の評価、α smooth muscle actinの免疫染色による伊東細胞の活性化評価、組織ハイドロチシプロリン含量ではDMN+7ND群はDMN群に比しいずれも有意に減少しておりコントロール群と同程度もしくは軽度増加であった。また、ノーザンブロットによるコラーゲン遺伝子の発現もDMN+7ND群において抑制されていた。これらの結果は変異型MCP-1が強力に肝線維化を抑制することを示していた。つぎに、この線維化抑制機構を解析するために、肝組織へのED陽性細胞(浸潤単核球)の数を検討したが、DMN+7ND群では有意にその数が減少しており、炎症の抑制が線維化の抑制に関連していることが示唆された。現在、血中及び組織中サイトカイン、TNFα、interleukin(IL)10、IL12を解析している。
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