研究概要 |
C型肝炎ウイルス(HCV)感染の治療として用いられているインターフェロン(IFN)無効例(不応例)にはIFN受容体発現低下例が多いことを証明してきた。IFN受容体発現低下細胞に、2種類のIFN受容体(IFNAR1,IFNAR2)のmRNAを遺伝子導入し、受容体の発現量を増加させることでウイルス排泄の効率が上がるかをどうかを検討した。 ヒト肝細胞由来のPH5CH8にIFNAR1,IFNAR2,IFNAR1およびIFNAR2を組み込んだ発現ベクターを導入し、受容体mRNAをreal-time PCRで定量したところ、遺伝子導入する前に比較して,導入後には10〜100倍に増加した.その効果はIFNAR1およびIFNAR2の単独を導入するより、IFNAR1とIFNAR2の両者を導入したほうが発現量が有意に高値であった。、遺伝子レベルでの発現は増加しているものの、その作用発現も同様に増加しているかどうかを検討するために、現在IFNAR1およびIRNAR2の蛋白量をWestern Blotting法にて測定中である。また、遺伝子導入によるシグナル伝達の変化については本年度に検討を予定している。 さらに、インターフェロンによって誘導される遺伝子群のなかで代表的な蛋白質でる、2-5ASおよびPKRのmRNAの発現をreal-time PCRで定量したところ、IFNAR1,IFNAR2,IFNAR1およびIFNAR2を組み込んだ発現ベクターの導入後には、導入前に比較して有意に発現量は増加した。 今後は、HCV感染が可能である培養系を用いて、IFNAR1,IFNAR2,IFNAR1およびIFNAR2を導入後に、IFNによるウイルス排除の効率が増強されるかどうかを検討する。
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