• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2002 年度 研究成果報告書概要

ラット新規セリンプロテアーゼの分子生物学的検討および膵疾患マーカーとしての意義

研究課題

研究課題/領域番号 12670508
研究種目

基盤研究(C)

配分区分補助金
応募区分一般
研究分野 消化器内科学
研究機関京都府立医科大学

研究代表者

片岡 慶正  京都府立医科大学, 医学部, 講師 (70185792)

研究期間 (年度) 2000 – 2002
キーワードchymoapsin / serine protease / 膵消化酵素 / リコンビナント蛋白 / 基質特異性
研究概要

セリンプロテアーゼは生体内で種々の役割を担っており,脳内でも新規のセリンプロテアーゼが同定されている.膵内においては細胞内でのセリンプロテアーゼの活性化が急性膵炎発症の初期段階であるとの報告もあり,消化酵素という生理的役割のみならず,その病的意義も注目されている.そこで我々は,膵炎モデルに汎用されているラット膵より新規のセリンプロテアーゼのクローニングを行い,酵素学的特徴を検討した.
ラットchymopasinのクローニングおよび配列を決定するため,セリンプロテアーゼの共通部分に対するprimerを作成し,Wistar系ラットの膵より得たcDNAを用いてpolymerase chain reaction (PCR)によりchymopasinのORFをcloning,さらに非翻訳領域を3'-RACE,5'-RACEにより塩基配列を決定した.PCR産物はpGEM-T easyを用いてsubcloningし,dideoxy法で配列を決定した.また局在を検討するため,ノーザンブロッテイングおよびIn situ hybridizationを行なった.In situ hybridizationは,4%paraformaldehydeにて還流固定したラット膵の凍結切片(18μm)に対し,digoxigeninにてラベルしたsenseおよびantisense RNAプローブを用いて行なった.このプローブはセリンプロテアーゼの共通配列を含まないように作成している.ラットchymopasinのC末端(DVIAYN,258-264残基)に対する抗体を用いて,膵液胆汁中のchymopasinをウエスタンプロッティングにて同定,また同法によりPBS投与後とセルレイン投与後の膵液胆汁中のchymopasinの比較も行なった.さらに酵素学的特長を検討するため,リコンビナントchymopasinを作成し,その酵素活性を検討した.ラットchymopasin組み換え蛋白はpTricHis systemにより,大腸菌を用いて作成した.作成されたFusion蛋白は,enterokinaseによる分解部位および(His)6 Tagを有し,キレートカラムにて精製が容易であり,かつenterokinaseで加水分解することで活性を有するラットchymopasinを得ることができる.組み換え蛋白の活性は各種合成基質を用いて測定し,またフィブリンプレートを用いてフィブリンに対する反応性を検討し,ゼラチンゲルザイモグラムを行なった.
ラットchymopasin mRNAは,およそ1.3kbであり,264アミノ酸をコードしていた.ノーザンハイブリダイゼーションでは膵臓に特異的にバンドが認められた.In situ hybiridizationによってchymopasin mRNAは膵臓の腺房細胞に発現しており,導管細胞やラ氏島での発現を認めなかった.予想されるアミノ酸配列はラットchymotrypsin Bおよびウシchymotrypsin Aに対して54.5%および56.9%の相同性を示した.リコンビナント蛋白はchymotrypsinに対する合成基質であるSuc-Ala-Ala-Pro-Phe-MCAに対して高い酵素活性を示した.さらに,フィブリンプレートやゼラチンゲルに対しても加水分解活性を示し,膵液中へのchymopasinの分泌量はセルレイン投与により著しく増加した.ラット膵より新規にクローニングされたchymopasinは膵液中に分泌されchymotrypsin様の活性を有する消化酵素であり,フィブリン,ゼラチンに対する加水分解活性は膵炎などの膵傷害に対するchymopasinの重要性を示唆している.

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Sogame Y, Kataoka K, Kato M, Sakagami J, Osawa S, Takatera A, Mitsuyoshi M, Usui N, Mitsui S, Yamaguchi N.: "Molecular cloning and characterization of chymopasin, a novel serine protease from rat pancreas"Pancreas. 25・4. 378-386 (2002)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] Takaoka K, Kataoka K, Sakagami J.: "The effect of steroid pulse therapy on the development of acute pancreatitis induced by closed duodenal loop in rats"J Gastroenterol. 37・7. 537-542 (2002)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] Sakagami J, Kataoka K, Sogame Y, Usui N, Mitsuyoshi M.: "Ultrasonographic splanchnic arterial flow measurement in severe acute pancreatitis"Pancreas. 24・4. 357-364 (2002)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] Osawa S, Kataoka K, Sakagami J, Sogame Y, Kawasaki C, Takaoka K, Yasuyda H, Takatera A.: "Relation between morphologic changes in the main pancreatic duct and exocrine pancreatic function after a secretin test"Pancreas. 25・1. 12-19 (2002)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] Sogame Y: "Molecular and characterization of chymopasin, a, novel serine protease from rat pancreas"Pancreas. 25-4. 378-386 (2002)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より

URL: 

公開日: 2004-04-14  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi