Atlas cDNA Expression Arrays法を用いて健常人肝臓とIPH症例肝臓との比較にてIPH症例より特異的にCTGF遺伝子が得られた。その特異性を確認するために、患者血清を用い、血清中のCTGF量をELISA法を用いて測定した。コントロールとして、健常人血清と肝炎患者における線維化のステージ分類(F1-F4)で分けられた血清を用いた。 結果はIPH症例28.0±32.8ng/ml(n=74)、健常人19.1±12.45ng/ml(n=38)、C型慢性肝炎患者F1例36.1±11.67ng/ml(n=24)、F2例31.7±7.46ng/ml(n=24)F3例32.1±6.23ng/ml(n=24)、F4例34.0±9.81ng/ml(n=12)であった。健常人と比較し、IPH症例群、CH症例群が有意に高値であった。また、IPH症例群に異常高値例を認め、コントロール+2SD以上の高値例は14例で全体の19%であった。 CTGFは結合組織成長因子であり、CCNファミリーに属する遺伝子である。その主な働きは、線維芽細胞に対して走化作用や増殖促進作用を示すこと、また、線維化の過程でTGF-βの作用を仲介することが挙げられるIPH症例におけるCTGFと肝線維化との関連性であるが、CH症例と同様に線維化の一過程における病態との関わりだけなく、特筆すべきはIPH症例に異常高値例が存在することである。IPHを症候群としてみたとき、IPH病態を引き起こす首座としてCTGF関与の可能性が示唆される。また、IPHによく合併する強皮症でもCTGF高値が報告され、病因として注目されている。このことからもIPHの病態とCTGFの関与が強く示唆される。
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