我々は、Altas cDNA micro alley法により数種類のIPH肝に特異的に発現する遺伝子群をピックアップし、その中で特にconnective tissue growth factor (CTGF)に注目し検討を行ってきたIPH症例ではELISA法にて測定したCTGF値は健常コントロールやC型慢性肝疾患患者に比べ異常高値示す症例が存在し、CTGFが病態と関連している可能性があることを見出した。次に我々はプロテインチップを用い、IPHに特異的に発現するタンパク質の解析を行った。検体としてIPH患者5例、原発性胆汁性肝硬変(PBC)患者3例の血清を使用した。タンパク質の解析はサイファージェン・バイオシステムズ社製のプロテインチップシステムを用い行った。タンパク重量の解析にはserface-enhanced laser desorption Ionization (SELDI)-time of flying (TOF)型のチップリーダーを使用した。タンパク質の発現解析を行ったものの内IPHに特異的に発現していたのは陽イオン交換、pH6.0、変性条件での7770Daのタンパク質であった。その量は、IPH5例中4例で上昇していた。また、PBCに特異的に発現していたのは陽イオン交換、pH6.0、非変性条件で8935Daのタンパク質であった。その発現量はPBC3例全例で上昇していた。 今回の症例ではIPHで全例一致したパターンを示したタンパク質はなく、そのことは本疾患が単一の病態を示すものでない可能性がある。単一のタンパクではなくクラスター解析などによりタンパクのパターンでみた方がよいのかもしれない。最終的にはカラムや電気泳動を用いて精製を行なう必要がある。また、精製されたタンパク質は分解産物の分子量を測定し、データベース上のタンパク質配列を用いて解析することにより同定する必要がある。
|