研究概要 |
急性肝障害時の脳内の神経ペプチドの関与を検討した。Wistar系雄性ラット(220-280g)を24時間の絶食の後、CRF antagonistであるα-helical CRF(0.125,0.25,0.5,1,2,5μg)および生理食塩水をそれぞれCCl4(2.0ml/kg sc)投与直前と6時間後に脳槽内投与した。24時間後にCO2にて屠殺し、血清ALT,AST,ALP,T-Bil値を測定し、肝を取り出してH-E染色に組織学的検討も加えた。その結果、生理食塩水の脳槽内投与は肝障害に影響を及ぼさなかったが、α-helical CRFの脳槽内投与によりCCl4による血清ALT値の上昇は用量依存性に抑制された(Mean±SE;IU/L:生理食塩水330±21;α-helical CRF0.125μg342±13;0.25μg246±22;0.5μg223±19;1μg181±20;2μg137±15;5μg139±3;n=5-9)。同様にα-helical CRF(2μg)の投与によりCCl4による血清AST,ALP,T-Bil値の上昇も抑制され、更に壊死や脂肪変性といった組織変化も軽減した。6-ヒドロキシドーパミン(100mg/Kg,ip7日前と80mg/Kg,ip4日前)および肝交感神経切除(3日前)により中枢性α-helical CRFによる本肝障害防御作用は消失したが、アトロピン(0.15mg/kg,ip)および迷走神経肝臓枝切断術(3日前)は影響しなかった。
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