研究概要 |
実験肝障害に対する拘束ストレスの影響および脳内の内因性CRFの関与ついて検討を加えた。Wistar系雄性ラット(200〜240g)を24時間の絶食後CCl4(2.0ml/kgsc)を投与し、その後6時間にわたりラットを拘束ストレズに曝した。同時にCRFアンタゴニストであるastressin(0.1-1μg)および生理食塩水をそれぞれCCl4投与直前と6時間後に脳槽内投与して内因性CRFの関与を検討した。肝障害の評価はCCl4投与24時間後の血清ALT,AST,ALP,T-Bil値および肝組織像にて行った。その結果、拘束ストレスによってCCl4による血清ALT,AST,ALP,T-Bil値の上昇および肝組織像がさらに増悪した。CRFアンタゴニストであるastressinの投与により拘束ストレスによって増悪した血清ALT,AST,ALP,T-Bil値の上昇が用量依存性に抑制され、更にストレスによって増悪した壊死や脂肪変性といった組織変化も軽減した。本肝障害に対するストレスによる増悪効果は6-ヒドロキシドーパミンおよぴ肝交感神経切除(-3 days)により消失したが、アトロピン前処置および迷走神経肝臓枝切断術は影響しなかった。以上の結果より、拘束ストレスは脳内の内因性CRFおよび交感神経・ノルアドレナリン作働性神経を介して実験的急性肝障害を増悪させることが示された。本所見はストレス誘発の実験肝障害増悪作用において脳内の内因性CRFが関与していることを示唆するものである。
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