研究概要 |
平成13年度も多くの貴重な知見を得ることができた。 <実験的観点>Wistarラットに四塩化炭素/オリーブ油当量混合液を2/週×12週間皮下注射し、肝硬変モデルを作成した.断頭堵刹後、血液,肝臓,胃を速やかに採取し胃粘膜と肝につきデジタルカメラで撮影後、胃粘膜病変を画像解析を行った。結果、肝硬変ラットでは単位面積に占める胃粘膜病変の発生が有意に高かった。門脈圧亢進症性胃症(PHG)は胃粘膜のうっ血に起因すると考えられているが、血流を改善するトラネキサム酸で前処置したラットにおいては病変の発生が有意に低かった。光学顕微鏡的観察上、粘液層の披薄化と上皮の脱落、粘膜の浮腫が明らかであったが、炎症性細胞の浸潤は軽微であった。免疫組織化学的検討上、tight junnctionではZO-1,7H6の各分子が、またGap junctionではconnexin26,32がそれぞれ低下していると考えられ、現在実験を進行中である。 <臨床的観点>PHGは内視鏡的にsuperficial reddening(SR),snake skin appearance(SSA),cherry red spot(CRS),diffuse hemorrhage(DH)を呈するが、各所見と背景肝障害の進展度に関する臨床的研究をprogressした。慢性肝炎(CH)、肝硬変(LC)、と門脈閉塞時(vp)における胃内の上,中,下部の内視鏡的PHG所見を、SR,SSA,CRS,DHで評価した。H.pylori感染を知り得た症例は除外した。肝障害との関係はPT,CH-E,plt数,spleen index,k-ICGで検討した。また肝障害の進展度と各種PHG所見の関係をロジステイック回帰分析により検討した。結果、SRは下部で多く認められたが(41-69%)、肝疾患の進展度との相関は見られなかった。SSAは下部(0-16%)に比較して中部(22-25%),上部(29-39%)で認められ、CRSはCH.LC共に上部(17-55%)で、DHはvp群の上部(47%)で有意に多く認められた。肝機能との対比では、CRS群でPTが、CRS群ではCH-E,plt数が共に有意に低値を示した。DH群ではCH-E,plt数,k-ICGの低下とspleen indexの上昇が明らかであった。ステイック回帰分析では下部でのSSA,上部でのCRS,DHの出現がOdds比2.8,1.6,10.9と肝疾患の進展度を有意に反映すると考えられた。
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