ラットの膵臓よりApteらの方法を用いて膵星細胞を分離した。まず、免疫組織染色によりコラーゲン、ファイブロネクチン、ラミニン、alpha-SMAが細胞質に、PPAR-gammaが核に存在することを確認した。RT-PCR法では膵星細胞に存在するPPAR-gammaのisoformはPPAR-gamma1がPPAR-gamma2に比べて優位に発現した。つぎに、PPRE-3tk-liciferase reporter plasmidをlipofection法で膵星細胞にtransfectionし、PPAR-gammaのligandであるPGJ_2、troglitazoneを投与した。これらのligandによりPPRE reporter activityは上昇し、内因性PPAR-gammaの活性が関与していると思われた。膵星細胞に対して強い増殖作用のあるPDGFを添加し、MTT assayにてtroglitazoneの増殖抑制効果を検討した。Troglitazoneの投与によって用量依存性に細胞増殖が抑制され、flow cytometryでG1 phaseの細胞数の増加とS phaseの細胞数の減少を認めた。Troglitazone単独投与では細胞の形態やMTT assayにおける生細胞数に変化はなかった。従って、troglitazoneはPPAR-gammaの活性化を介して膵星細胞の増殖を抑制し、これは細胞周期のG1 arrestの誘導によるものと考えられた。
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