AIMはSRCR(scavenger receptor cystein rich domain superfamily)に属する蛋白で、マクロファージ(mφ)より分泌され、標的臓器により種々の生理作用を有すると考えられている。我々は平成12年度、P.acnes→LPS誘発実験肝炎で、AIMを介して肝mφ/Kupffer(KC)細胞の貪食能が亢進することを示した。本年度は(1)in vitro実験を行ない、(2)ヒトの疾患とAIMの関係を調べた。 【結果】(1)in vitro;B6マウス腹腔単核球及び培養mφ細胞株(RAW264)にAIMを添加し、mφの貪食能を調べた。この結果、in vitroにおいてもAIM添加にてマウス腹腔単核球及びRAW264細胞の貪食能の亢進がみられた。一方、MTT法によりAIMには細胞増殖能増強効果は認められなかった。(2)マウス実験肝炎の浸潤mφでAIMの活性増強が見られたので、granuloma形成を伴うヒト肝疾患、原発性胆汁性肝硬変(PBC)で検討を行った。PBCの主病変であるchronic non-suppurative destructive cholangitis(CNSDC)におけるAIM mRNAの発現を検討した。CNSDCの胆管上皮内CD68陽性浸潤細胞(mφ)ではAIM mRNAの発現は認められなかった。一方、門脈域内の浸潤細胞、granuloma形成部のCD68陽性mφの一部で、AIM mRNAの発現が認められた。ヒトPBC病変部におけるAIMの働きとして、(1)胆管に対する直接作用よりは、炎症細胞のattck後の貪食・処理あるいは、(2)胆管近くに浸潤しているmφより、何らかの炎症に関与する物質の分泌などに関与している可能性等が考えられた。以上より、AIMは炎症を伴うヒト慢性疾患にも原因あるいは結果として関与している可能性が考えられた。
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