AIMはSRCR(scavenger receptor cystein rich domain superfamily)に属する蛋白で、マクロファージ(Mφ)より分泌され標的臓器により種々の生理作用を有する。我々はP. acnes→LPS誘発実験肝炎でAIMを介してMφ/Kupffer(KC)細胞の貪食能が亢進することを示した。また、前年度はgranulomaとMφの相互作用に注目し、ヒト疾患の原発性胆汁性肝硬変(PBC)で、PBCの主病変である門脈域のgranuloma形成を伴うchronic non-suppurative destructive cholangitis(CNSDC)において門脈域内の浸潤細胞granuloma形成部のCD68陽性Mφの一部でAIM mRNAの発現がup-regulationされていることを示してきた。本年度は更にgranulomaを伴う疾患に焦点をあて、マウスでestablishされている、ヒト炎症性腸疾患モデルを用いAIMの果たす役割を調べた。 【方法】TCR α^<-/->マウスとAIM^<-/->マウスを掛け合わせTCR a^<-/->/AIM^<-/-> double knockout mouse(DKO)を作成し、コントロールとしてAIM wild typeと表現型が等しいAIM^<+/->を用いてTCR a^<-/->/AIM^<+/->を作成し、TCR α^<-/->腸炎マウスでAIMの有無で炎症の程度に差が有るか否かを検討した。 【結果】(1)粘膜内炎症細胞浸潤(2)crypt abscess(3)goblet cellの減少(4)ビラン(5)dysplasia(6)粘膜下炎症細胞浸潤の6項目すべてで、TCR a^<-/->/AIM^<+/->(n=17)に比しDKO群(n=13)で有意に腸炎が高度であることが示された。 【考察】マウス炎症性腸炎において、炎症の重症度とAIMの存在が関与している可能性が示唆された。
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