研究課題/領域番号 |
12670524
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
加藤 公敏 日本大学, 医学部, 助手 (90204461)
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研究分担者 |
村井 一郎 日本大学, 医学部, 助教授 (10130618)
浅井 聡 日本大学, 医学部, 講師 (80231108)
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キーワード | メラトニン / 松果体 / ストレス潰瘍 / 胃粘膜保護作用 / サーカデイアンリズム |
研究概要 |
我々は、メラトニン(ML)の胃粘膜保護作用のメカニズム、及び概日リズムとの関係について検討した。ラットにおける、4時間の水浸拘束ストレス負荷により惹起される胃粘膜病変は、時間の経過と共に増加し、血漿ML濃度も、同様に増加した。一方、松果体摘出群では、ストレス負荷後、対照群に比較して胃粘膜病変の有意な増加を認めたが、血漿ML濃度は、ストレス負荷前より、対照群に比較し有意に低値のまま、ストレス負荷後も増加がみられなかった。従って、ストレスに応答して松果体より分泌されるMLは、胃粘膜に防御的に作用していることが示唆された。また、我々は、MLが末梢性のみならず、中枢性にも、胃粘膜保護作用を示すことを明らかにしたが、この作用がMLレセプターを介するものかどうかを検討した。MLレセプターサブタイプIbのantagonistであるluzindoleの大槽内前投与は、MLの中枢(大槽内)投与によるストレス惹起胃病変抑制作用をブロックした。一方、MLレセプターサブタイプIIに高親和性を有するprazosinの前投与はMLの抑制作用に影響を与えなかった。これらより、MLの中枢を介した胃病変抑制作用には、脳内MLレセプターのIbを介する可能性が示唆された.さらに概日リズムとの関係について、ラットに、明期、暗期に水浸拘束ストレスを与えると、暗期のストレス負荷群の方が、明期のストレス負荷群より胃病変は有意に抑制された。暗期のML濃度は、ストレス負荷前の対照群では、明期の場合よりも有意に高く、胃病変抑制との関連が示唆された。また、先述のごとく、松果体摘出群では、暗期のストレス負荷後、胃粘膜病変の増悪を認めたが、この増加はMLの大槽内前投与により有意に抑制された。以上より、ストレス惹起胃病変の形成に概日リズムが重要な影響を及ぼすことが示唆された。
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