プロスタグランディン(PG)E_2による刺激は、アセチルコリン刺激の一過性開口放出反応と異なり持続性の開口放出反応であり、そのピーク値はアセチルコリン刺激時に比べて低値であった。PGE_2はアデニレートサイクレースを活性化して細胞内cAMPを増加させた。PGE_2刺激は細胞外Ca^<2+>を取り込み、さらに細胞内Ca^<2+>を動員して開口放出反応を引き起こした。Ca^<2+>-free下にcAMPを抑制するとPGE_2刺激による開口放出は完全に消失し、PGE_2刺激による開口放出はCa^<2+>とcAMPの両方の細胞内二次伝達物質を介したものであることが明らかにされた。 プロスタグランディン(PG)Eの細胞膜レセプターにはEP1、EP2、EP3、EP4の4つのサブタイプが同定されている。EP1レセプター拮抗薬を加えるとPGE_2刺激による開口放出は抑制されたが、Ca^<2+>-freeにしてもEP1レセプター拮抗薬による開口放出に変化はなく、EP1レセプターはCa^<2+>信号と連結していることが示唆された。EP1レセプター刺激は開口放出をほとんど引き起こさず、EP1レセプター刺激単独では開口放出を引き起こすための細胞内Ca^<2+>濃度上昇は不十分と考えられた。 EP4レセプター刺激は持続的な開口放出を引き起こしたが、PGE_2刺激時の約15%であった。この反応はCa^<2+>非存在下でも影響をうけず、Ca^<2+>非存在下でcAMP阻害によりほとんど消失したことから、EP4レセプターがcAMPを動員して開口放出を活性化していることが示唆された。 EP1レセプター刺激薬とEP4レセプター刺激薬を同時に加えると、EP4レセプター刺激薬単独時の約4倍と開口放出頻度の増強作用が認められた。 以上より、PGE_2はEP4レセプターを刺激してcAMPを活性化し開口放出を引き起こすと同時に、EP1レセプターも刺激してCa^<2+>を動員し、その結果Ca^<2+>がcAMPの感受性を高めることにより開口放出反応をさらに増強すると推察された。 開口放出はPGE_2により促進され、EP1レセプターとEP4レセプターを介して細胞内二次伝達物質であるCa^<2+>とcAMPの相乗効果により調節されていることが判明した。
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