研究課題/領域番号 |
12670534
|
研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
上野 隆登 久留米大学, 先端癌治療研究センター, 教授 (70176618)
|
研究分担者 |
坂田 隆一郎 久留米大学, 医学部, 助手 (70258424)
古賀 浩徳 久留米大学, 医学部, 助手 (90268855)
鳥村 拓司 久留米大学, 医学部, 講師 (60197986)
木村 利奈 久留米大学, 先端癌治療研究センター, 研究員 (60299518)
橋本 修 久留米大学, 医学部, 助手 (50289427)
|
キーワード | 肝星細胞 / 肝癌細胞 / PPARα / PPARγ / 脂肪肝 / フェノフィブレート |
研究概要 |
ヒト平滑筋細胞を用いた研究によりperoxisome proliferator-activator recceptor α (PPARα) activatorがNFκBのシグナルを抑制することでcyclooxgenase-2 (COX2)の転写活性を抑制し、ひいては細胞の活性化を抑えることを明らかにした(Bart Staels et al. Nature(1998)393,790)。本研究ではPPARα activatorの一つであるフェノフィブレートがヒト肝星細胞の活性化抑制とヒト肝癌細胞の脱分化抑制効果を示すか否か検討することを目的としている。 本年度は、ヒト肝星細胞におけるフェノフィブレートの効果を検討した。ヒト肝星細胞にCOX2 promoterまたはNF-κB responsive elementにルシフェラーゼ遺伝子を融合させたレポータープラスミドを導入後、炎症性サイトカインであるIL-1βで処理しpromoterおよびresponsive elementを活性化させ、フェノフィブレートの効果をルシフェラーゼ活性として検出した。ヒト肝星細胞においてはヒト平滑筋細胞とは異なり、フェノフィブレートによるCOX2 promoterおよびNF-κB responsive elementの活性抑制は認められなかった。一方、強力な発癌プロモーターであるPMAによるこれらのプロモーターの活性化はフェノフィブレートにより抑制を受けていた。これらの結果は両細胞の細胞内環境の相違により、COX2 promoterおよびNF-κB responsive elementの活性化経路に関わる因子群に違いがあるためと考えられる。 今後、分化度の異なる肝癌細胞株を用いてフェノフィブレ-トの脱分化抑制影響を評価する予定である。それぞれの細胞株に対してCOX2の発現量およびPPARαの発現量の変化がフェノフィブレートによりどのように変化するか、またフェノフィブレートがCOX2の発現量に与える影響と細胞株の分化度に相関があるか否か検討する。
|