研究概要 |
ラット腸間膜動脈へLPSを注入することにより腸リンパ管由来Tリンパ球migration patternが変化し、その際,接着分子との関連性を指摘したが,LPSとTリンパ球とのインキュベーションでは接着分子(LFA-1α、α4-integrin、L-selectin)の発現パターンは変化が観察されなかった。そこでリンパ球に対する抗原刺激過程において重要と考えられている抗原提示細胞(APC)に着目した。パイエル板には免疫反応に必要なすべての免疫担当細胞が含まれていると考えられ,パイエル板からTリンパ球とAPCとしてadherent cellを分離して用い,migrationにおける役割を接着分子の面から検討した。【方法】約220g Wistar系雄性ラットより小腸パイエル板細胞を採取し、培養プレートにてadherent cellとnon-adherent cellに分離、さらにnon-adherent cellをナイロンウールカラムを通してTリンパ球を採取した。Tリンパ球単独群とTリンパ球にaderent cellを約10%混合した群を作成し、LPS10μg/mlにて36時間刺激後^3H-thymidineの取込みを測定、さらにCD25(I12-Rc)および接着分子の発現をflowcytometryにて解析し比較した。 【結果および考察】^3H-thymidine取り込みはLPSにより増加し,adherent cell添加でり増強された。CD25や接着分子の発現はTリンパ球単独群では変化しなかったが、adherent cell添加によりCD25、CD11aの発現が増強しLPS刺激下でのパイエル板のTリンパ球のmigrationにおいてもAPCの関与が示唆された(第12回世界消化器病学会2002.2,バンコク)。 今後は標識リンパ球を用いて組織学的検討を行う予定である。
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