研究概要 |
筋線維芽細胞の増殖機転を明らかにする目的で、増殖因子の塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF),血小板由来増殖因子(PDGF),endothelinの結合部位を、autoradiography法およびin situ hybridization法により検討した。その結果、bFGF, PDGF-BB, endothelin-1に対する結合および対応する受容体が、筋線維芽細胞をはじめとした間葉系細胞上に分布するのを認めた。さらに、Helicobacter pylori感染Mongolian gerbilでは、対照群に比し、筋線維芽細胞が増加したが、bFGFの酸に対する安定化体であるCS23-bFGFをの腹腔内あるいは経口投与することにより、筋線維芽細胞のさらなる増加および受容体発現の増加を認めた。しかし、この検討を行っている際に未分化間葉系細胞の増減は観察されなかった。一方、この検討を行っている際に、近年肥満などに関係することから注目されているホルモンであるレプチンが、この筋線維芽細胞の類縁細胞である伊東細胞あるいはfat-storing cellの増生に関与することが明らかとなったことから、leptinのHelicobacter pylori感染時の分布の変化につき検討した結果、leptinは、胃粘膜内では、微小循環系内皮細胞に主に分布するのに対し、感染時には筋線維芽細胞および未分化間葉系細胞にも分布するようになり、さらにその受容体がこれらの細胞に分布することがわかったことから、その増殖機転に関与することが示唆された。すなわち、増殖因子は、細胞の増生に関与し、leptinは、transdifferentiationに関係すると考えられた。
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