研究概要 |
平成12年度研究業績 (1)初年度の今年は、実験装置の整備と、サイトカインIL-8,IL-10,IL-13とエンドトキシン投与モデルにおける生理学的測定を主に行った。 (2)実験装置の整備…次年度に予定されている遺伝学的解析に用いられる、微量高速遠心機や紫外可視分光光度計を申請した通りに購入し、設置後その動作と操作法の確認を行った。 (3)IL-8,IL-10,IL-13の検討…コントロール群、サイトカインIL-8,IL-10,IL-13の各群について、ラットを用いて、摘出された横隔膜筋から筋小片を作製し、Organ bath内にて電気刺激を行い、張力-周波数関係、単一パルス刺激による収縮時間、半弛緩時間の測定、更に反復刺激(20Hz,60/min,5分間)による筋疲労度などを測定し、横隔膜筋の収縮特性の変化を検討した。IL-10,IL-13(0.2mg,0.25mg)のサイトカインはエンドトキシンによる横隔膜筋収縮力の低下に対して、抑制するように作用し、主に張力-周波数関係の改善、単一パルス刺激による収縮時間や半弛緩時間の改善が無処置群と同等になるほどの防御効果が認められた。一方、IL-8(0.25mg)は、単独で横隔膜筋収縮力を低下させ、また一酸化窒素(NO)の産生を誘導していて、横隔膜筋収縮を増悪させるように作用していた。 (4)次年度への継続…生理学的検討に関する測定はほぼ完了し、サイトカインの作用に差異が認められたが、その違いについて次年度に分子レベルで解析を行う予定である。生理学的測定時に摘出した、残りの横隔膜筋の一部はNADPH diaphorase染色のためOCT compoundに包埋し,また一部はPCR用にマイクロチューブに筋組織を採取し、-80℃冷凍庫に保存した。
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