平成13年度研究業績 (1)前年度の研究より、IL-10はエンドトキシンと同時に投与すると防御的に作用することが判明し、またIL-13も同様に防御的に作用していた。今年度はIL-8の作用を生体へ経静脈的に投与したとき(in vivo)と、バッファー内に投与したとき(in vitro)での筋収縮とNADPH diaphorase活性の変化について検討した。 (2)IL-8のinvivoでの検討【triple bond】IL-8(3μg/kg)を尾静脈から静注し、直後、2時間後、4時間後で横隔膜筋を摘出し、収縮特性を測定した。時間経過にそって、張力-周波数曲線は低下し、主に発生張力が減少した。また各時間でのNADPH diaphotase染色で酵素活性を調べると、2時間後、4時間後と次第に増加しており、iNOSが誘導されていることが伺われた。 (3)IL-8のin vitroでの検討【triple bond】IL-8をバッファー内に投与し、4時間にわたってincubationしたのち、筋収縮特性を測定したが、収縮特性には大きな変化は見られなかった。このことより、IL-8が作用するには、細胞外からの拡散では作用を発揮しないことが伺われた。 (4)以上の結果から、IL-10、IL-13などのサイトカインはエンドトキシンに対して防御的に作用するのに対して、炎症などを惹起するIL-8は経静脈性に投与された時、単独で横隔膜筋の収縮力を減少させることが判明し、IL-10、IL-13とは逆の作用をしていることが伺われた。本研究により、IL-8は増悪させるのに対して、IL-10、IL-13のほうは敗血症時の呼吸筋不全にたいして防御的に働き、臨床応用の可能性があるサイトカインとして位置づけられることが結論づけられた。
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