研究概要 |
臨床研究として,気管支喘息患者の喀痰中の好酸球数と顆粒蛋白であるECPを測定し、気道過敏性、呼吸機能、症状との関連を検討した。次に、Th2サイトカイン阻害薬(suplatast tosilate ; IPD)投与後に同指標を測定した。さらに咳喘息における重要な症状である咳嗽が気道炎症の臨床的な指標となりうるかについて、カプサイシン咳閾値、喘息日誌の咳嗽点数、治療点数などから検討した。その結果、気管支喘息患者では,気道過敏性が亢進し,呼吸機能検査では末梢気道障害がみられ,喀痰中の好酸球数増多とECP高値が観察された。さらに,咳喘息患者にIPDを投与したところ,咳嗽症状が著明に改善し,咳閾値が有意に上昇し,喀痰中のECP値も有意に低下した。IPD投与前後でFVC, FEV1には有意な変化はみられなかった。これらの成績は,第14回日本アレルギー学会春季臨床大会(2002年3月21〜23日)および第98回American Thoracic Society(May19〜22,2002,Atlanta)で発表予定である。 基礎的研究として,ポジトロンエミッショントモグラフィ(PET)によるムスカリン受容体の画像化について検討した。ムスカリン受容体拮抗薬である[11C]ヨウ化メチルN-メチル-3-ピペリジルベンジレート[11C]3NMPBを静脈内に投与し,体内分布と代謝経路の測定を行い、次に、肺における放射能活性を測定した。その結果,[11C]3NMPBは肺内から有意に高く検出され,ヒトにおけるムスカリン受容体の存在が確認された。これらの成績の一部については、第42回日本呼吸器学会(2001年4月4日〜6日)および第97回American Thoracic Society(May20〜24,2001,San Francisco)で発表した。
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