研究概要 |
【研究方法】鳩の糞より抽出したPDE (Pigeon Dropping Extracts)を生理食塩水で溶解し,生食40μl中にPDEの最終蛋白量が20-200μgとなるように調整した.エーテルによる軽麻酔下でC57BL/6マウスにPDE溶解生食40μlを経鼻的に気道内に吸引させ,経鼻感作を行った.PDEの経鼻感作は週3日隔日で行った.生食40μlの経鼻吸引群を対照群として比較した. 【結果】4週間の経鼻感作で肺重量は増加し,病理所見では病変はびまん性に認められ,気管支血管束に沿ってリンパ球浸潤を認めた.この変化は4週間の感作では感作終了後0日,3日,9日で比較すると3日後で病変は強く認められた.4週間の感作ではPDE80μgと200μgとでは肺重量増加や病理所見に差を認めなかった.40μgでは対照群と比べ,肺重量の増加を認めなかった.気管支肺胞洗浄液中の細胞では感作終了3時間後は好中球がマクロファージとほぼ同程度まで増加していたが,感作終了3日後では好中球の減少とリンパ球のわずかな増加を認めた.80μg以上の群で4週間感作によりPDEに対するIgG抗体産生を認めた.気管支血管束中心に認める細胞浸潤は人での慢性鳥飼病に類似した病理所見を呈していると考える.BAL液中のTNFαは感度以下であった.PDE80μgによる8週間感作も行い比較した.MRNAでの検討ではTNFαmRNAの発現は8週間感作のほうが減少する傾向を認めており,proinflammatory cytokineについては長期感作によりdown regulationの可能性が示唆された.ハイドロキシプロリン測定では8週間であきらかな差を認めなかった.感作抗原量をさらに少なくし,長期感作した場合の肺の反応について実験中である.
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