研究課題/領域番号 |
12670554
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
藤本 圭作 信州大学, 医学部, 助教授 (70242691)
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研究分担者 |
小泉 和展 信州大学, 医学部・附属病院, 講師 (20273097)
本田 孝行 信州大学, 医学部, 助教授 (80238815)
久保 恵嗣 信州大学, 医学部, 教授 (80143965)
山口 伸二 信州大学, 医学部・附属病院, 助手 (00313859)
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キーワード | 気管支喘息 / 気道上皮 / 粘液産生 / 杯細胞 / 喀痰 / 気道リモデリング / Cl-チャンネル / 気道過敏性 |
研究概要 |
気管支喘息患者における不可逆的な気管支の構造的変化、すなわちリモデリングとして、気管支粘膜上皮細胞の杯細胞化生がリモデリングの初期に、さらに粘膜下腺の肥大増生といった変化がみられる。この上皮細胞の杯細胞化生を含む気道粘液産生亢進に気道上皮のCl-チャンネルを介したCl-のトランスポートを制御する蛋白の一つであるCa2+ activated chloride channel(CLCA)1の関与が示唆されている。我々は気管支喘息患者21名を対象として誘発喀痰細胞におけるCLCA1遺伝子発現を検討した。誘発喀痰はβ_2刺激薬吸入後、高張食塩水10分間のネブライザー吸入にて採取。DTTにて粘液を溶解後、細胞成分を分離。細胞成分にISOGENを加えRNAを抽出・精製、RNA量を測定した後、100ng RNAを用いて、RT-PCRにてcDNAを作成し、RNA10ng相当量をABI PRISM 7700シークエンスディテクターを用いたTaqMan PCR法にてCLCA1 mRNA発現量を定量化した。非喫煙健常人と比較して、気管支喘息患者では喀痰中の総細胞数およびリンパ球、好酸球比率の有意な増加がみられた。非喫煙健常人と比較して、気管支喘息患者では喀痰細胞のCLCA1遺伝子発現は増加傾向を示したが有意な差は認められなかった。CLCA1遺伝子発現量と肺機能検査あるいは喀痰中の好酸球比率との間にも有意な差は認められなかった。また、喘息患者を罹患年数が10年以下と10年以上に分けて検討したが、有意な差は認められなかった。今回の誘発喀痰細胞を用いた検討では有意な発現増強を認めなかった。その理由として、CLCA1が発現しているであろう気道上皮細胞が誘発喀痰細胞に占める割合が一定でなく、少ないことが原因かもしれない。今後は組織学的検討を加えて検討したい。
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