研究概要 |
アレルゲン感作の研究では,気管支喘息患者におけるアレルゲン感作・曝露を考慮すると,経気道的なアレルゲンの投与が必須であるが、これまで経気道的アレルゲン投与では必ずしもアレルギーが成立しなかった。これまでの私どもの研究で,経気道的な抗原感作はインフルエンザAウィルス感染によって促進されることが明らかにしてきた。本研究では,マウスに馴化したインフルエンザAウィルスを用いてマウスを感染させた場合,どのようなサイトカイン・ケモカインがアレルギー感作に関与しているかを検討した。 BALB/cマウスにインフルエンザAウィルス(Influenza A/Guizhou-X H3N2)を点鼻投与し,1,3,5,7,14日目に気管支肺洗浄を行い,洗浄液中(BALF)のサイトカインを定量化した。IFN-γは3日目より上昇し,7日目にピークを示した。IL-4および1L-5は変化を示さなかった。TNF-α,MIP-2,KCはともに3日目にピークを示し,5日目には低下を示した。IL-12は変化を示さなかった。 以上,MIP-2やKCなどの好中球遊走性ケモカインやTNF-αなどの炎症性サイトカインは,インフルエンザAウィルス感染で増加したが,Th2サイトカインであるIL-4やIL-5は変動しなかった。このことは,前年に明らかにしたウィルス感染時の樹状細胞による気道内吸入抗原の認識には,これらサイトカインが関与しないことを示す。
|