研究概要 |
本研究では喘息気道の好酸球浸潤におけるセレクチン分子のin vivoの役割を明らかにし、sialyl Lewis-x糖鎖アナログ吸入による喘息治療への可能性を検討する。 1)アレルゲン暴露後の感作マウス呼吸機能の解析 BUXCO社製の小動物用Double Chamber Plethysmographsにより無麻酔下で呼吸インピーダンスを測定して、アレルゲン暴露後から48時間目まで経時的に観察する。8週齢の雌BALB/Cマウスに卵白アルブミン(OVA)2回腹注投与による感作後、2週間目にOVA吸入暴露し、呼吸インピーダンス(RI)を測定した。OVA吸入後、15分後にRIは有意に低下し、1時間後に正常のbaselineに戻り、4-6時間後に再びRIの低下即ち遅発型反応の発現が観察された。このOVA誘発マウス喘息モデルに対し、sialyl Lewlsx糖鎖アナログ投与し、その効果を解析した。sialyl Lewisx糖鎖アナログ投与群において対照群と比べ遅発型反応が減弱する傾向が認められたが有意な結果は得られなかった。 2)アレルゲン暴露後の肺組織の解析 a.抗原暴露前、1抗原暴露後6,24,48時間の時点での末梢血液中の白血球分画及び気管支肺胞洗浄液中細胞分画の測定し、sialyl Lewisx糖鎖アナログの効果を調べた。結果sialyl Lewisx糖鎖アナログ投与群において対照群と比べ、全ての時点で有意に好酸球の低下が見られた。 b.接着分子発現の解析:即時型反応後P及びEセレクチン,ICAM-1,VCAM-1等接着分子群について、特異抗体を用いた免疫染色を施行し、抗原暴露6時間目のマウス気道組織においてP及びEセレクチンの強い発現が認められた。 以上の結果より、OVA誘発マウス喘息モデルにおいてsialyl Lewisx糖鎖アナログは気道への好酸球浸潤を抑制し、気道反応を減弱させる可能性が示唆された。
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