研究概要 |
近年クローニングされたconnective tissue growth factor(CTGF)はTGF-βの"down-stream mediator"として、TGF-βの強力な線維化作用を直接担っている増殖因子であることが明らかになってきた。我々は今回連続抗原吸入暴露のマウス喘息モデルにおいて、気道でのCTGFのmRNAおよび蛋白の発現と気道粘膜下線維性蛋白沈着への関与について調べた。 【対象と方法】8週齢の雌BALB/cマウスを卵白アルブミン(OVA)で感作後、14日間連続で生理食塩水及びOVA(0.5mg/ml)の吸入を施行し、吸入前、7日目、14日目の各時点で、気管支肺胞洗浄(BAL)し、細胞数とその分画を解析した。また肺組織を免疫組織染色及びRNA抽出に用いた。気管支肺胞洗浄液中のTGF-bをELISA法にて測定した。肺組織中RNAについて、GAPDHmRNAを対照にCTGFmRNAレベルをABI PRISM7700を用いて定量的に解析した。 【結果】連続抗原吸入マウス群において、著明な上皮細胞の杯細胞化が認められ、更にElastica-Masson染色にて気道粘膜下への著明な膠原線維の沈着が認められた。更に連続抗原吸入により、BAL液中の細胞数は生理食塩水吸入群に比し、著明な増加が認められた。またBAL液中TGF-b濃度の有意な増加も認められた。肺組織中CTGFmRNAレベルは、抗原吸入群で対照群に比し、7日目、14日目で有意な増加が認められた。またCTGFに対する免疫染色により、抗原吸入後7,14日目の肺組織で気道粘膜下にCTGF陽性細胞の著明な増加が認められた。 【考察】TGF-βのdown-stream mediatorとしてのCTGFはアレルギー性気道炎症にて誘導発現され、気道粘膜下への線維性蛋白の沈着を促進し、気道のリモデリングに関することが示唆された。
|