気管支喘息の気道リモデリングには種々のサイトカインが重要な役割を果たしていることが明らかにされてきた。近年クローニングされたCTGFはTGF-βの強力な線維化作用を直接担っている増殖因子であることが明らかになってきた。我々は本研究においてCTGFの気道リモデリングにおける役割について、ヒト気管支生検標本、培養ヒト気管支上皮細胞、マウス喘息モデル肺組織を用いて解析した。 (1)マウス喘息モデルを用いた研究 卵白アルブミン(OVA)で感作下後、連続抗原吸入暴露のマウス喘息モデルにおいて、気道でのCTGFのmRNAおよび蛋白の発現と気道粘膜下線維性蛋白沈着への関与について調べた。 【結果】連続抗原吸入マウス群において、著明な上皮細胞の杯細胞化が認められ、気道粘膜下への著明な膠原線維の沈着が認められた。肺組織中CTGFmRNAレベルは、抗原吸入群で対照群に比し、7日目、14日目で、有意な増加が認められた。またCTGFに対する免疫染色により、抗原吸入後気道粘膜下にCTGF陽性細胞の著明な増加が認められた。 (2)気管支喘息患者気管支生検標本についての解析 [[結果]RT-PCR法によりCTGFは好酸球及び気道上皮細胞にそれぞれmRNA発現を認めた。また免疫染色では気道組織中、CTGFは気管支上皮細胞及び一部の線維芽細胞で陽性を示した。更に今回解析した標本について粘膜下CTGF陽性細胞を測定したところ、健常者群に比べ、気管支喘息患者群において有意に増加していることが明らかになった。またこの気道粘膜下CTGF陽性細胞数は基底膜肥厚と有意の相関があることが示された。 [結語]TGF-βのdown-stream mediatorとしてのCTGFはアレルギー性気道炎症にて誘導発現され、気道粘膜下への線維性蛋白の沈着を促進し、気道のリモデリングに関することが示唆された。
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