研究概要 |
肋間筋は重要な吸気筋であり,かつ,呼気筋としても重要である.また,肋骨との解剖学的関係から,姿勢を維持・変化させるための姿勢筋としても非常に重要な姿勢制御筋であると考えられている.そこで本研究では,重要な吸気筋である傍胸骨部の内肋間筋(Parasternal Intercostal muscle : Para)の,姿勢制御筋としての機能を明らかにし,Paraにおける呼吸の制御と姿勢の制御の間の相互作用について検討することを目的とした.20歳以上の健常成人男性8名を対象とし,電気的活動を抽出する電極には,直径80μmのウレタンコーティングの白金線をFine Wire電極として用いた.23G注射針をガイドニードルとして用い、超音波断層装置で,ガイドニードルを確認しながらParaに1対の電極を挿入した.被験者が上半身を正面に向けて,あるいは,右または左に回旋して坐っている際の,生および積分された筋電図波形を,気流量と共に同時記録した.以上より,姿勢変化がParaの呼吸筋としての活動に及ぼす影響を検討した.その結果,(1)右のParaでは,上半身を右に回旋させた時に電気的活動が観察され,Paraには,吸気筋としての活動に加えて,姿勢制御筋としての電気的活動が観察された.(2)右のParaでは,上半身を正面に向けている際に比べて,右に回旋させている際に吸気性の電気的活動が強くなり,逆に左に回旋させている際に吸気性の電気的活動が抑制されることが明らかになり,Paraに呼吸の制御と姿勢の制御の間の相互作用が観察された。
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