研究課題/領域番号 |
12670572
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
藤島 清太郎 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (00173419)
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研究分担者 |
関根 和彦 東北大学, 医学部, 助手 (90296715)
館野 博喜 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50286473)
平岡 芳樹 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80218768)
余語 由里香 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90306712)
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キーワード | 遺伝子多型 / 炎症性肺疾患 / sepsis / 肺線維症 / interleukin 8 / interleukin 18 |
研究概要 |
1.多種メディエータ及びその受容体遺伝子発現量の患者間の対比とこれを規定する遺伝子多型、特に未知の遺伝子多型の同定: 昨年度に引き続き、炎症性肺疾患患者および健常者から検体採取を継続した。各人からインフォームドコンセントを得た後、末梢血10mlを採取、DNAを分離した。IL-8遺伝子発現に影響し得る新たな遺伝子多型を検索するため、まず健常日本人25名を対象にIL-8プロモータ領域1Kbの塩基配列をダイレクト・シークエンス法により決定した。-253位置に1つのA/T SNPを見いだしたため、さらにPCR-RFLP法により同SNPを健常者100名、sepsis患者10名で解析した。その結果、IL-8プロモータ領域SNPのgenotype解析結果は、健常者で16:47:37(A/A:A/T:T/T)、sepsis患者で同1:3:6と、その頻度が日本人において高いことを確認した。喘息患者での頻度は同等であり、今後肺線維症、急性肺傷害などの患者において症例を重ね頻度解析を行う予定である。さらに同IL-8SNPに基づくジェノタイプごとの血漿IL-8値比較、各種刺激に対する末梢血細胞からのIL-8産生を検討中である。 2.動物モデルを用いた疾患病態とサイトカイン及びその受容体発現パターン関係の確認: 昨年度の動物実験より、放射線肺臓炎・肺線維症病態へのMCP-1の関与、急性肺損傷の病態へのMIP-2の関与が疑われたため、本年度はさらに多くのケモカインについて、その遺伝子発現を解析した。 その結果、ラット放射線肺臓炎・肺線維症モデルにおいては、新たにTh2 chemokineであるTARCの遺伝子発現が増強することを確認した。さらに特発性肺線維症(IPF)患者の気管支肺胞洗浄液中TARC濃度を測定したが検出されず、放射線肺臓炎とIPFとで病態に違いのあることが示唆された。 また、マウス・セプシス・モデルにおいて、熱傷前負荷により遷延性のMIP-2,TNFα産生が惹起され、急性肺傷害の発症と予後の増悪を来す機序を明らかにするため、熱傷負荷後に発現するサイトカインを検索した。その結果、熱傷受傷1週間後に、肝臓におけるIL-18含量が有意に増加していることを確認した(3600+329 vs 4050+275、p<0.0001)。今後IL-18抗体の中和による病態変化の観察、さらにIL-18遺伝子発現に影響し得る遺伝子多型の検索を計画している。
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