研究概要 |
1.ケモカインなどの遺伝子上に存在する既知・未知の遺伝子多型の同定 肺結核症患者でNRAMP1遺伝子上の各種遺伝子多型を解析した結果、プロモータ上のGTリピートに関し、稀なアリル1,2型の頻度が結核症患者で有意に高かった。次にfibronectin遺伝子上SNPs解析では、日本人と欧米報告とで頻度差が大きかったものの、健常者と肺線維症患者間の差はなかった。MCP-1プロモータ領域-2518SNPの検討では、日本人Gアリル頻度が欧米人に比し有意に高かったが、肺線維症患者とで差はなく、血中MCP-1値のジェノタイプ間の差も認めなかった。IL-8遺伝子プロモータ領域1Kbのダイレクト・シークエンスにより新たに見いだした-253A/T SNPを、PCR-RFL-P法により健常者100名、sepsis患者10名で解析した結果、健常者で16:47:37 (A/'A : A/T : T/T)、sepsis患者で同1:3:6の頻度分布であった。 2.動物モデルによる疾患病態とメディエータ遺伝子発現量の検討: 1)ラット放射線肺線維症モデル:肺組織でのMCP-1,MIP-1αβ,MIP-2,lymphotactin, fractalkine遺伝子の相対的発現量を求めた結果、照射4週後にMCP-1、TARCが高く、8週後ではMCP-1、MIP-1αが高い傾向を認めた。 2)マウスセプシス・急性肺損傷モデル:エンドトキシン投与後72時間の生存率は、熱傷前負荷なし群100%、前負荷有り群0%であった。サイトカインに関しては、熱傷前負荷なし群でTNFα,MIP-2が2時間後単峰性に増加したのに対し、負荷有り群では2、8時間後の2峰性増加を示し、最高値も高かった。さらに熱傷受傷1週間後のIL-18値を肺、肝で測定したところ、肝臓のIL-18含量が有意な増加を認めた。
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