研究概要 |
1.従来の評価法では一定の見解が得られていない慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対する呼吸リハビリテーションの気流制限改善の有無の解明と病態の解析:従来の一般・特殊肺機能検査にNEP[Negative Expiratory Pressure]法による評価を取り入れた包括的呼吸リハビリテーションプログラムの立ち上げを完了した。現時点までの6週間の呼吸リハビリテーションにおいて(n=10、年齢67±7[SD]歳,%FEV_<1.0>39.7±15.4%)呼吸困難感や運動能力の増加が得られているが、従来法では指摘し得ない気流制限の改善所見がNEP法により検出されている(従来法;FEV_<1.0>は1037±439mLから1013±437mLと改善所見が認められないが、NEP法ではISV[Isoflow volume]が座位で29.7±30.9%から19.8±25.7%の改善に加え、仰臥位でも46.5±33.8%から33.7±31.7%へ改善)。さらに症例を集積し、特殊肺機能検査結果や呼吸困難感との関係など種々の解析を行う。 2.仰臥位での気流制限度と夜間睡眠時の低酸素血症との関係:パルスオキシメータを用いたモニタリングにより夜間の低酸素血症を示すCOPD症例において、NEP法による仰臥位での気流制限の改善とともに夜間の低酸素血症が軽快する新しい知見を得た。今後さらに症例を集積し検討する。 3.高度の気流制限を示す気管支喘息急性増悪症例を集積し、NEP法を用いた座位から仰臥位への体位変換に伴う気流制限の増悪、気流制限度と呼吸困難感(VAS)の相関性を解明した。また、経時的に変化する気流制限の非侵襲的な評価法としてのNEP法の有用性を示した。
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