研究概要 |
1.免疫複合体(lgG-lCx)による肺傷害動物モデルの作成:Sprague-Dawley系SPFラットを用い,経気管支的にpolyclonal lgG含有抗BSAを投与し,次いでBSAを経静脈的に投与した.肺を経時的に摘出し,肺胞領域を中心にその形態変化を観察した結果,著明な好中球浸潤を伴った肺水腫の像が認められた.また,肺の乾燥重量/湿重量(D/W ratio)は有意に増加し,肺血管透過性の亢進が窺われた. 2.呼気中一酸化窒素濃度の測定:上記のin vivoの実験系で,ベンチレーターから呼気ガスを経時的に採取し,ケミルミネセンス法を用いて一酸化窒素濃度を測定した.その結果,肺傷害モデルでは呼気中の一酸化窒素濃度が著しく増加しており,とくにBSA投与の6時間後に最高値を示した.する.また,あらかじめマクロライド(エリスロマイシン,クラリスロマイシン,ジョサマイシン)を経口投与した群では,肺傷害に起因する一酸化窒素濃度の増加が軽微であり,さらに好中球の浸潤も有意に抑制された. 3.一酸化窒素合成酵素サブタイプの決定:lgG-lCx投与後に気管支肺胞洗浄を施行し,得られた細胞より肺胞マクロファージを分離しNADPH diaphorase活性の免疫細胞化学を行った.また,恒常型および誘導型の一酸化窒素合成酵素の各々のモノクローナル抗体にて免疫染色も施行した.その結果,肺胞マクロファージにおける一酸化窒素合成酵素の局在が確認され,これらはすべて誘導型(Type II)の一酸化窒素合成酵素であった.さらに,上記のマクロライドの投与はこれらの酵素発現を抑制した.
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