研究概要 |
最初にパーキンソン病治療薬levodopa投与時の脳内代謝動態、特にセロトニンニューロンの関与を知ることを主目的として、Wister系雄性ラットを用い、まずパ病モデルラットを作成した。ドパミン(DA)ニューロンとセロトニンニューロン両者破壊群には、DA神経毒である6-hydroxydopamine(8μg/4μl)を右内側前脳束に、セロトニン神経毒の5,7dihydroxytryptamine(200μg/μl)を右側脳室内にそれぞれ投与した。DAニューロン単独破壊群には前記と同量の6-hydoxydopamineを右内側前脳束に投与し、右側脳室内には0.1%アスコルビン酸含有生理食塩水のみを溶媒として投与した。対照群には、前述の溶媒を右内側前脳束および右側脳室内に投与した。In vivo microdialysis法により線条体内DA、セロトニンおよびその代謝産物を経時的に測定した.以上から得られた実験結果より、DAニューロンが破壊されたパーキンソン病では主としてセロトニンニューロンが投与されたlevodopaの代謝を司っていると考えられた. 次に現在、長期levodopa投与時の、線条体におけるNMDA型グルタミン酸受容体サブユニットmRNA発現について第2の実験を行っている。上述の2群をさらにそれぞれ2群に分け、アポモルフィン投与試験を施行して、1週間後から1群にはlevodopaおよびbenserazideを、他の1群には生食水を各々腹腔内に連日4週間投与した。臨床的指標として1週毎にlevodopa投与後の回転運動数と回転運動持続時間をアクチグラフを用いて測定し、4週間後に、断頭して脳を取り出して速やかに凍結保存している。予定の全実験を行った上、in situ hybridizationによってNMDA受容体サブユニットmRNA発現を比較検討する.
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