研究概要 |
パーキンソン病モデルラットを作成し、その治療薬であるレボドパを投与し、脳内のドパミンの動態やレボドパの代謝時のセロトニンニューロンの関与について一連の検討を加えて来た。 本年度はin situ hybridizationにより、NMDA受容体サブユニットmRNA発現を比較した。NMDR1,2A,2B,2C,2Dにそれぞれ特異的なオリゴヌクレオチドを作成し、[33P]αdATPでラベルし、実験ラット各群の線条体を通る切片を作成してhybridizationを行った。まず半定量的に各群間のNMDA受容体サブユニットmRNA発現を比較したが、5つのNMDRに明らかな差を見い出し得なかった。そこで現在、filmautoradiographyおよびmicroautographyによってさらに詳しく定量中である。 別にわれわれはレボドパ長期投与中に出現するジスキネジアなどの運動合併症の原因が線条体におけるレボドパ由来のドパミンの急勾配の濃度変化によることを既実験で確認してあったので、次の実験を追加した。6-OHDAパーキンソン病ラットでは投与されたレボドパをセロトニンニューロンで変換するので5-HT1Aアゴニストの8-OH-DPATを併用し、線条体におけるニューロペプチドとグルタミン酸脱炭酸酵素mRNAの変動をレボドパ単独投与群とin situ hybridizationにより比較した。8-OH-DPAT併用はレボドパによる運動感作に抑制的に作用し、またdynorphinおよびGADmRNAの増加を抑制した。すなわち、5-HT1A受容体アゴニストがパーキンソン病患者のジスキネジアを軽減することが期待される。
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