研究概要 |
血漿総Aβ40/42およびリポ蛋白非結合型Aβ40/42の測定には10mlのヒト血液を0.1%EDTA試験管に採取し,12時間以内に2,800回転,20分で血漿を遠心分離し,総Aβ40/42測定用に凍結保存した.白血球成分はDNA抽出後,PCR-RFLP法によってApolipoprotein E4 genotypeの解析をおこなった.リポ蛋白非結合型Aβ40/42の測定には血漿からsequence density floating超遠心法を用いてリポ蛋白分画を除去する(Koudinov A,BBRC1994).これにはpottasium blomideで血漿密度を1.25g/mlに調整した後,16℃で8時間100,000rpmで超遠心をおこない,密度1.25g/mlのinfranatantを回収して測定した.(2)Aβ40およびAβ42のELISAによる測定にはcaputure抗体としてBNT-77(Ab11-16),同定抗体としてペルオキシダーゼ標識抗Aβ40抗体(BA-27)および抗Aβ42抗体(BC05)を用いた.標準ペプチドはSigma社製Aβ40/42を用い,TMB発色試薬で発色し,450nmでプレートリーダーを用いて測定した.基礎的検討はすでにMatsubara E,et al:Ann Neurol 1999に報告した.(3)健常者の検討我々の施設で採取した若年者から高齢までの健常者約400例では血液総Aβ40/42とリポ蛋白結合型および非結合型は生理的に加齢とともに60歳代から増加したがこの変化は非結合型でより著明であった.(4)国内各施設から得られた約200例のDown症候群患者の血漿ではリポ蛋白結合型および非結合型Aβ40/42は2倍から3倍に上昇し,加齢ともに低下した.AD患者では発症の前で増加し,発症とともに低下してくることが明かとなった.この傾向は血漿リポ蛋白非結合型Ab40/42でより顕著であった.(5)家族性ADの検討本邦のAPP717変異家系(新潟,尼崎,東京家系)とpresenilin-1変異家系(大阪,兵庫,仙台,カナダ,アルゼンチン家系)の約20家系の家族性ADの血漿ではリポ蛋白結合型および非結合型Aβ40/42の増加が一部の症例で認められた.したがって,血漿Aβ40/42は(6)ADの生物学的マーカーとして有望と考えられた.
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