研究概要 |
脳卒中様発作を主徴とするミトコンドリア脳筋症のひとつであるMELAS症候群(ミトコンドリア遺伝子[mtDNA]の塩基番号3243位のアデニンからグアニンへの点突然変異)の病因mtDNAを導入した血管内皮細胞培養系を構築するため以下を行った. 1.ヒト脳血管内皮細胞の不死化:ヒト脳細動脈内皮細胞の初代培養株(BME;大日本製薬)に,SV40T抗原遺伝子を含むプラスミドDNA(MK16;日本医大老人研太田成男教授より供与を受ける)をリポフェクチン法によって導入し,いくつかの安定発現株を得て,現在継代中である. 2.mtDNA欠損株の構築のための条件設定:ヒト脳細動脈内皮細胞の初代培養株BMEを様々な濃度(10ng/ml〜200ng/ml)のエチジウムブロミド(EtBr)を培地に添加し,最も高率にmtDNAを選択的に消失し,生存も可能である条件を検討した.mtDNA断片をプローブとして(核ribosomal DNA遺伝子を内部標準),サザンブロットを行った結果,50ng/ml濃度が最も適切であることが判明した. 3.MELAS患者由来の皮膚線維芽細胞株の単離 福井医科大学附属病院へ通院する3名のMELAS患者から,同意を得た上で,皮膚線維芽細胞株を構築した.(1)および(2)の細胞操作によって得られるmtDNA欠損株に,これらの患者由来のmtDNAを細胞質融合法によって導入する.
|