研究課題/領域番号 |
12670603
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
金子 嘉志 京都大学, 医学研究科, 助手 (40252465)
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研究分担者 |
東辻 宏明 京都大学, 医学研究科, 助手 (60281094)
伊藤 克彦 京都大学, 医学研究科, 講師 (90281097)
藤田 潤 京都大学, 医学研究科, 教授 (50173430)
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キーワード | HSP110 / HSP70 / ポリグルタミン / アポトーシス / 凝集体 / HSP40 |
研究概要 |
遺伝子の翻訳領域にCAGトリプレットが異常に長く伸長することは、ハンチントン病や脊髄小脳変性症を代表とする神経変性疾患の原因となっている。これらの患者はそれぞれの疾患に特有の症状を呈するが、一方でこれらの病気には共通して神経細胞のアポトーシスと細胞内凝集体形成という二つの病理学的特徴が認められる。伸長したCAGトリプレットはグルタミンに翻訳される結果、原因遺伝子に長いポリグルタミン鎖が添加される。ポリグルタミン鎖の発現そのものが培養細胞やマウス個体に細胞内凝集体およびアポトーシスを誘導するが、HSP70とHSP40の共発現はこれらを共に抑制することが報告されている。当該研究で我々はHSP110ファミリー及びATPaseを欠損した変異HSP70を用い、これらの凝集体抑制、アポトーシス抑制効果を検討した。HSP70とHSP40をCos7や293T細胞に強制発現させるとGFPとポリグルタミンの融合蛋白質の凝集は抑制された。一方、HSP110または変異HSP70とHSP40の強制発現は凝集を抑制しなかった。ポリグルタミン鎖の発現は293T細胞にアポトーシスを誘導したが、変異型、野生型のHSP70の強制発現はアポトーシスを抑制し、HSP110の強制発現はアポトーシスを抑制しなかった。 これらの結果は 1)HSP110はポリグルタミン鎖の誘導する凝集体形成、アポトーシスに対し抑制効果は無い。 2)HSP70の凝集体抑制効果にはATPase領域が必要であるが、アポトーシス抑制効果には必要無いことを示し、アポトーシス抑制作用は凝集体抑制作用には依存しないことを示唆した。
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