研究概要 |
ドパミン神経幹細胞の増殖培養と凍結保存技術:胎性12日ラット中脳より実体顕微鏡下に採取したドパミン神経幹細胞をマイクロアイランド法を用いて培養し,さらに塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)により刺激して増殖させた.神経細胞をDMSO+仔牛血清,セルバンカー2を用いて凍結した.融解後の細胞回収率は93.4±11.3%(M±SD)で,Etidium homodimer及びCalceineAMを用いた生細胞率は54.6%±6.6%であった.凍結保存,融解後の培養が可能となった.融解後の培養は細胞株とは異なり不安定であり神経保護作用のある物質の添加を検討する必要がある. 培養ドパミン神経に対するD-β-hydroxybutyrateの作用の検討:培養ドパミン神経に対して保護作用を有する物質を探索した.D-β-hydroxybutyrate(DBHB,ケトン体)はミトコンドリア機能が障害された際に有効なエネルギー源となりうる.MPP^+は低濃度では選択的なドパミン神経毒であるが,4m M-DBHBの添加によりドパミン神経の神経細胞死が抑制された.DBHBは,パーキンソン病をはじめとする神経変性疾患の治療薬となりうる可能性が示唆された(Proc Natl Acad Sci USA,2000). 次年度以降D-β-hydroxybutyrateを中心とした神経保護物質の神経幹細胞の凍結融解時の保護効果を検討ししパーキンソン病の細胞療法開発にむけた検討を行う予定である.
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