研究概要 |
H13年度まで胎性中脳由来のドパミン神経幹細胞と線条体由来の神経幹細胞の凍結保存技術を確立し効率的な増殖法を探索してきた.H14年度は増殖させた神経幹細胞の神経細胞への分化条件を検討した. 分化誘導のための接着培養時に用いる細胞外マトリックスとして,fibronectin, poly-d-lysine(PDL), laminin, collagen, glass(LabTekII)又は細胞外マトリックス未処理プラスチックの効果を比較検討した.評価は神経細胞マーカーとしてMAP-2,未分化神経細胞マーカーとしてnestin,神経フェノタイプのマーカーとして,TH, GABA, ChAT,グリアマーカーとしてGFAP, Vimentin, A2B5,04を蛍光免疫染色法により検討した.いずれの細胞外マトリックスを用いてもMAP-2陽性神経細胞に分化を誘導することが可能であったが,fibronectinを用いた場合に最も効率が高かった.PDLでは神経細胞への分化と共にアストロサイトへの分化誘導が顕著であった.TH陽性ドパミン神経への分化はfibronectinで認められた.また,分化誘導した神経幹細胞からmRNAを回収しRT-PCRにより発現しているシグナルを解析した.各細胞外マトリックスにて,FGF-2存在,非存在の条件において,nestin, nurr-1,sonic hedgehog, en-1, en-2,smo, pax-2,pax-8の発現パターンを検討した.Fibronectinを用いた培養で未熟なドパミン神経のマーカーであるnurr-1及びEn-2が強く発現させることが可能であった.液体分化培地に種々の分化因子,栄養因子等を添加してその効果を検討した.ドパミン神経への分化培養にはdopamine(10μM), forskolin(10μM),脳由来神経栄養因子(BDNF,50ng/ml)3者の添加により効率を高めることに成功した.
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